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サブメニュー2 システム開発 目次  大阪府電子調達システム開発委託におけるシステム監査について



平成15年5月30日
大阪府建築都市部 
1 目的
 電子調達システムは、発注者の行政内部で利用するだけでなく、受注者も利用するもので、受注者の利害関係に多大な影響を与えるシステムである。
 このため、この電子調達システムに必要な機能が、適切かつ正確に組み込まれているかを確認し、システムの公平性や透明性が具備されているかどうかを第三者により証明するため、システム監査を導入する。
このことによる効果は、次のとおりである。
(1)「客観性・透明性のある外部へのアカウンタビリティ(説明責任)の確保」、「投資効果・安全性などの管理努力の証明」
 監査対象(大阪府及び開発業者)から独立した第三者の専門家がシステム監査を行うことにより、客観的な評価を得ることができる。
 このシステム監査により、システムの信頼性が向上し、開発費の妥当性の検証も図られることから、信頼してシステムを利用することができ、受注者側からの電子入札の協力が得られやすい。
(2) 「システムが期待したレベルに達成しているか」の検証
 電子調達システムは、行政と民間とをつなぐ社会的な基盤システムであり、システムの誤動作や停止による影響は、極めて大きいものがある。
 このため、システムが期待したレベルに達成しているかが大変重要となり、そのための検証ができる。

2 システム開発と並行して、システム監査を行う理由
 システムの機能について、証明・検証を行うにあたって、システム運用時になってから、問題が発覚して手直しをすれば、かえって手間がかかり費用もかさむ。
 このため、開発時において、第三者により検証・評価し、適切な時期に問題点の指摘と改善提案を行なうことにより、システムの「信頼性」「安全性」「効率性」の向上を図るものである。

3 業者選定方法
 平成14年度の「大阪府電子調達システム開発委託(第一期)」におけるシステム監査企業の選定にあたっては、公募型プロポーザル方式で募集することとし、システム開発委託の落札者と資本若しくは人事面において関連のある者がいる場合は、その順位を無効とする取扱いをすることとした。
 選定・契約にあたっては、(1)会社の業務経歴、(2)技術職員の経歴及び能力、(3)提案内容の具体性について、技術提案書を総合的に評価した。
システム監査の導入や技術提案書の審査については、「大阪府電子調達システム開発委託に係る技術審査委員会」の意見を聴取した。
 この結果、受託業者は、次に決定した。
情報システム監査株式会社
大阪市城東区鴫野西3丁目4番3−502号
4 システム監査の実施について
 システム監査の実施にあたっては、監査計画書により、監査テーマや監査対象範囲を明確にして実施した。監査手法としては、システム監査基準、セキュリティ対策に関する調査研究報告書等による監査個別計画に基づき、開発ドキュメント類の精査、ヒアリング、会議の参加、進捗管理、納品物件の確認、フォローアップ監査、現場視察等を行うこととした。
 なお、平成14年度の「大阪府電子調達システム開発委託(第1期)」では、導入したコアシステムのカスタマイズ開発部分が監査の対象範囲である。
監査は、開発の各工程に併せて、開始時点、完了時点で行い、計3回の中間報告会及び最終の報告会を行った。

5 システム監査結果について
 平成14年10月末に開発を開始して約1ヶ月後に行った11月末のシステム監査では、様々な改善項目が、抽出され、更に約1ヵ月後の12月末の第1回報告会で指摘された。第1回の報告会と前後して行われたシステム監査では、約半数ほどの項目に改善が認められたことと併せて、大阪府事務局側の主体的な取り組み状況が弱いことと開発者側のスケジュールの遅延に対する積極的対応の欠如等が改善項目として、平成15年1月末の第2回報告会で指摘された。
 平成15年2月末には、機器調達の遅れに伴う工期の遅れに対して、緊急指摘事項が提案された。
 平成15年2月下旬に行われたシステム監査では、機器調達以外にも、第二期開発の基本検討報告書の品質やセキュリティ要件の組み込み不備について指摘され、3月中旬の第3回報告会で、報告された。
 最終の納品を受けて行われた平成15年3月下旬の最終報告会では、開発現場の視察に制約があったため、品質管理が十分チェックできないこと、異常系のテストが行われておらず、テスト十分でないこと、テスト実施状況の報告に一部欠落があること、納品ドキュメントの品質に問題があることが指摘された。
 これを受けて、平成15年3月末までに、遺漏のないよう、開発業者に対して、6(2)の対応策を講じさせた。

6 大阪府としての見解
(1)システム監査を受けた結果について
 システム開発と並行したシステム監査により、開発途中時点での大阪府側及び開発業者側の各々の問題点を、具体的に指摘され、改善に向けた取組の契機とすることができた。
 開発当事者(大阪府及び開発業者)間では、ある程度気づいていても、日々の作業の中に流されてしまっているようなことであっても、開発ノウハウの有るシステム監査業者から、具体的な指摘があることで、問題点が顕在化し、その指摘事項の改善を行うことにより、開発途中の問題点を一つ一つ解決し、開発を概ね円滑に進めることができた。
 開発途中のシステム監査ということで、開発の作業が中断され、開発の進捗を遅らせることに繋がらないかの懸念があったが、システム監査業者からは、既存の資料の閲覧や適度なヒアリングの回数・時間が設定され、逆に、監査人という第三者が開発の打ち合わせに出席し、打ち合わせ項目の不備の指摘や必要なドキュメントの不足や不備も指摘があり、システムの開発品質の向上につながったと考えられる。

(2)改善指摘事項に対する対応策について
 最終段階の監査報告会においても、改善指摘事項が全て解決するところまでには、至らなかった。
 このうち、開発現場視察については、委託契約の中で、本システム開発専用の場所を設置するよう求めていなかったため、共用の開発現場となり、秘密保持のため、現場視察ができないという状況が発生した。このため、今回は、システム監査業者と開発業者間で秘密保持契約を締結して、開発業者の現場視察を行った。
 次年度の開発においては、システム監査業者の現場視察を義務付けし、視察が可能な場所での開発を仕様書に盛り込むこととしている。
 テスト品質の不十分さ、テスト実施状況の報告の一部欠落、納品ドキュメント品質の不十分さについては、平成15年3月末までに、追加の作業を行うと共に、平成15年度において、実際の利用者である入札受注者側の業者や入札発注者による稼動試験・研修等を十分行った上で、必要な改良を行い、平成16年度から導入拡大することとしている。
 また、平成15年度の実証実験及び第二期開発において、同様の課題が発生しないよう、各々の契約において、品質面での管理方策を徹底していくこととしている。

(3)最後に
 開発当事者(大阪府及び開発業者)とは異なる第三者の監視により、緊張感のある開発ができ、納期を遵守し、システム監査の委託費用を上回る充実した効果が上がった。
 平成15年度以降の開発においても、平成14年度の経験を生かして、システム監査を導入し、円滑なシステム開発・運用を進めていきたいと考える。



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